17th PRODUCT OF THE YEAR 2023

2次審査投票結果について

グランプリ Knoll Japan株式会社 No.2320 Plectere Aline

このPlecture Alineは、メリノウールのフェルト帯を輪っか状にしたものを、ゆるく編み込むようにしながら、それを連続させてパーテーションの様に仕上げているのだが、これがなんとも優美で柔らかく、軽やかで温かみのある、とても美しいプロダクトである。 POYのプレゼンテーションでは、その実物を拝見させて頂いたが、そのフェルト帯の幅や厚みのバランス、柔らかな素材感が、クオリティの高さをより強く感じさせるものであった。更に、サスティナブルな思想、96色のバリエーション、遮音性、断熱性があり、内装工事では欠かせない防炎加工まで済んでいるという。この製品の存在感や佇まいは他に類を見ない美しさがある。さすが世界屈指のデザインブランドが送り出すプロダクトである。

審査員 JCD理事長 窪田 茂


準グランプリ DNライティング株式会社 No. 2305 DNL 本体幅5㎜ 極細LEDモジュール MU-LED

幅5mmという極細のバータイプLEDモジュールである本製品は、設計者のこだわりをより高い解像度で具現化し得る製品であると言える。 空間や造作への影響を最小限に留め、より幅広い環境で洗練された空間を演出してくれるであろう。

また、スペックを追い求めるだけではない、多角的な配慮と精緻さにも好感が持てる。 これだけ細いモジュールでありながらドットがほぼ見えない光の拡散性、連結部の光の減衰に配慮されたエンドキャップの素材と構成、マグネットをはじめとする3つの取り付け方法を選択できる高い施工性など、開発者の高い意識と徹底したものづくりへの意欲的な姿勢が感じられる。

突き詰めることで生まれた、在り方としての精緻な仕立てが評価されました。

ゲスト審査員 北川 大輔
プロダクトデザイナー
株式会社 DESIGN FOR INDUSTRY
金沢美術工芸大学非常勤講師


準グランプリ 株式会社アダル No. 2347 SAKYU

準グランプリに輝いたSAKYUは、砂丘をモチーフとした緩やかで雄大な曲線が特徴であるが、日本の天然素材である井草を使用したという点が、この製品をより凛とした佇まいに仕上げているかと思う。特に黒に染色された井草は、グッとくるカッコよさがありシックでモダンである。ドイツ人デザイナーによるものとの事であるが、ゆったり幅広で低めに設定された寝椅子は、ヘッドレストがマグネットで自由に位置調整ができ、体型を選ばずしっくり馴染む設計になっている点も素晴らしい。

井草の持つ肌触りや落ち着きが日本人の心にスッと入り込むように、そこにあるだけで身体を預けたくなる、触れてみたくなる感覚に陥る美しいプロダクトである。

審査員 JCD正会員 白木 ゆみ香


審査員特別賞 株式会社モザイクジャパン No. 2332 瓦 slice mosaic (瓦スライスモザイク)

お寺などで見かける敷き瓦を、タイルの様な発想でシート貼りできる製品にしてしまい、それを壁に貼れるようにしたというもの。これは、今ではあまり使われなくなってしまった「瓦」という素材のアップサイクルであり、しかもデザイナーの意向に合わせてオリジナルで製作できるという。今回の製品は中国の瓦だそうだが、国や地域によって瓦には違いがあり、色々な国の瓦で製品化にトライしたいとの事。これは私たちデザイナーにとっても楽しみであるが、何よりそれぞれの国の文化を使って製品化できるという所に、このプロダクト、いやプロジェクトの素晴らしさがあると思う。手作業でタイル模様をつくっているという事も、クラフト魂を感じる事ができる素晴らしい製品である。

審査員 JCD理事長 窪田 茂


サステナブル・プロダクト賞 セイショク株式会社 No. 2340  NUNOUS®[ニューノス] for SIGN フォーサイン

「ニューノス」という作品おいては、以前よりサステナビリティに対しての取り組みについて、3年前より取材を経て周知しておりました。まだSDG’sについてそれほど各企業が本腰を入れて取り組む前から、自社の業務内容(制服等の染工場であること)と社会の問題解決(不要になった制服などの廃棄)をプロダクトデザインとしてどう魅力あるものに昇華させるかを社内で完結する工程で製品開発をしたということにとても感銘を受けた事を覚えています。今回の「ニューノス・フォーサイン」は、衣服から建築プロダクトに変換するという今までにない色や素材感で新たなマテリアルの創出ができると共に、実案件として企業で実際に身にまとっていた制服を使いアップサイクル。サインとしてまた空間にインストールするというストーリーが一層このプロダクトの価値を高めていると感じました。どこか人のぬくもりを感じる素晴らしい作品だと思います。

審査員 JCD理事 折原 美紀


総評

「JCDプロダクトオブザイヤー」の審査に参加するのは今回で3回目となりました。毎回製品のジャンルが幅広く、審査はとても大変ですが、今回はカテゴリー別の応募・一次審査が取り入れられ、アワードとして着実に進化していることを感じました。また、応募作品も「より美しく」「より機能的に」なっており、メーカーのみなさんが日々、創意工夫を続けているのだという印象を受けました。特に、社会的な使命として環境への負荷を「より軽く」という意志が年々、強く製品に込められており、非常に頼もしく思います。コロナ禍を経て、人々が自由に街に出て、集うときが戻ってきました。街に出る楽しさを再び享受する人々をどのような空間でお迎えするか。インテリアデザインに携わるメーカーの腕の見せどころです。

特別審査員 花澤裕二
株式会社 日経BP社「日経デザイン」元編集長


■POY 2023 二次審査結果・グランプリ、準グランプリ

受賞名 エントリーNo. 賛助会員名 製品名 製品PDF
グランプリ 2320 Knoll Japan株式会社 Plectere Aline
準グランプリ 2305 DNライティング株式会社 DNL 本体幅5㎜ 極細LEDモジュール MU-LED
準グランプリ 2347 株式会社アダル SAKYU
審査員特別賞 2332 株式会社モザイクジャパン 瓦 slice mosaic (瓦スライスモザイク)
入賞 2311 株式会社サンズ TeTaTeT Flûte
入賞 2324 不二サッシ株式会社 アルビームインテリア スリットコーニス照明用建材
入賞 2327 株式会社ウッドワン ピノアース足感フロア
入賞 2336 京都アンプリチュード株式会社 蘇生シリーズ ー竹材の循環再生利用ー
入賞 2340 セイショク株式会社 NUNOUS®[ニューノス] for SIGN フォーサイン
入賞 2345 株式会社九銘協 Continuum(コンティニュウム)
入賞 2355 株式会社マストレ Prestige

※印 サステナブル・プロダクト賞の受賞・入賞製品と重複しています

■サステナブル・プロダクト賞

受賞名 エントリーNo. 賛助会員名 製品名 製品PDF

サステナブル
・プロダクト賞

2340 セイショク株式会社 NUNOUS®[ニューノス] for SIGN フォーサイン
入賞 2326 リリカラ株式会社 シラスクロス
入賞 2327 株式会社ウッドワン ピノアース足感フロア
入賞 2336 京都アンプリチュード株式会社 蘇生シリーズ ー竹材の循環再生利用ー
入賞 2345 株式会社九銘協 Continuum(コンティニュウム)

※印 グランプリ、準グランプリの受賞・入賞製品と重複しています