SECTION 65 「歴史的建造物のこれからーなぜ・どう・なにを残すのか」イベントレポート


JCDシンポジウムSECTION 65
「歴史的建造物のこれからーなぜ・どう・なにを残すのか」イベントレポート

文: さとう未知子
取材写真: 奥 俊輔 (※印)、さとう未知子 (●印)
開催概要ページ:https://www.jcd.or.jp/jp/section/6506/

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デザインの今を問い、語り合う、「JCDデザインシンポジウム SECTION65」は、関東支部デザインサーキット共催のもと、東京藝術大学・上野キャンパス美術学部中央棟第1講義室を会場に、「歴史的建造物のこれからーなぜ・どう・なにを残すのか」をテーマに開催されました。
パネリストには、建築史家・大阪公立大学教授で、のべ11万人が参加する「東京建築祭」を立ち上げるなど、建築の価値を社会に広く伝える活動を行う倉方俊輔さん、建築家からキャリアをスタートし、その後、都市開発・ホテル運営など街づくりを長年手がけ、現在はNOT A HOTELにて新たな挑戦を始める黒田哲二さん。ファシリテーターに、デザイン・イノベーション・ファームTakramで、多様なプロジェクトを牽引するコンテクストデザイナーの渡邉康太郎さんを迎え、歴史的建造物を「残す」という行為の意味を多角的に掘り下げました。

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「なぜ残すのか」「どう残すのか」「何を残すのか」。
歴史的建造物は偶然性を持ちながらも、用途を変え、生かされ続けてきた人々の記憶の積み重ねであること。
古いものを活用することは、かえって新しい“第三のもの”を生み出す行為であり、そこには最新テクノロジーやマーケティングの力も求められ、創造的な発想を生み出すものとなること。
人が「面白がる」ことで生まれる新たな可能性は、一つの建築物にとどまらず、敷地を超えてエリア全体へ、面白がる空気を波及させていく。

根源的な問いから始まり、活用方法の事例や「残す・活用する」という行為がもたらす創造的な価値、そして、再生活用された建築がエリアや社会に与える影響まで、議論は広がりました。
渡邉さんからは、世界での建築活用の多様な事例が示され、黒田さんからは、新たな解釈によって人々の記憶がつながる建築を形成する想い、倉方さんからは歴史的建築物に、今を生きる人が見て、触れることを通して、その価値を社会へ伝えていく活動の意義と想いが語られました。
建物の価値を再解釈し、“残す”という行為のその先に、人の営みが結びつき、社会を面白くしようとする人々の活動が生まれ、広がり、豊かな都市の形へ導く光となることを感じさせられる時間となりました。

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ご来場いただきました皆さま、開催にご協力いただきました皆さま、誠にありがとうござました。
シンポジウムの様子は、後日、JCD公式youtubeにてアーカイブ公開予定です。

開催概要
JCD デザインシンポジウム SECTION 65
「歴史的建造物のこれから – なぜ・どう・なにを残すのか」

開催日時 2025年10月28日(火)18:00 – 20:00(懇親パーティー 20:15 ‒ 21:00)
会 場東京藝術大学 上野キャンパス 美術学部中央棟 第1講義室
主 催一般社団法人日本商環境デザイン協会(JCD)
共催協賛JCD関東支部
特別共催株式会社アダル、株式会社サンゲツ、株式会社ナカサアンドパートナーズ
一般協賛株式会社サカイ、SANEI株式会社、株式会社土井/AKARIYA

2025/11/13  | News,シンポジウムSECTION,セミナー